6.30.2005

粋な買い物

のっぽな中年男が高級ブチックに入る。ピンストライプのグレーのスーツに、真っ白のシャツ、濃い目の、敢えて装飾を避けたネクタイ。キレイに整えられた黒髪の中、白髪がツー・・・といさぎよくラインを描く。細い銀のフレームの眼鏡が静かに光る。店内は程よくクーラーがかかっていながらも、決して寒すぎず、心地よい。照明もおとなしめにしている様子だ。男は礼儀正しく、ゆっくり、店を一周、物色する。買いたい物はもう決まっている様子。口の端は小さな笑顔になっている。

店員は一周を終えた男にタイミングよく話し掛け、程よい笑顔で「なにかお探しでしょうか。」二人の波長はもう、完全一致している。

「ください。」
「かしこまりました。では、こちらの席でお待ちください。」

男は革張り・低めのソファに腰をかける。出されたコーヒーからゆっくりと湯気が立つ。男は黒砂糖の塊を一つ入れ、混ぜずにコーヒーをすする。ちょうど半分飲み終わった頃、店員が戻ってくる。

「お待たせいたしました。ご自宅用でしょうか、それとも贈り物にしましょうか。」
「贈り物にしてくれ。赤のリボンがいい。」
「かしこまりました。」

男はプラスチックのカードを店員に渡す。私にも貴方にも想像できないくらいの多額な金額を支払っている。一括払いは暗黙の了解である。店員は少し離れたテーブルで、殻のハコを取り出し、黒い包み紙で手際よくハコを包み、赤いリボンをカンで計って切り、結ぶ。最後に、そのハコを頑丈な手提げ袋に入れ、男に渡す。男はニッコリと笑い、手提げ袋を受け取る。

「大変お待たせしました。こちらに署名を・・・。」
「今日もありがとう。」
「明日も、お待ちしております。」

6.28.2005

夜に剃る方が多い

異様な暖かさとカーテンの隙間を抜けてきた日差しに目を覚まし、ガバッと起き上がる。いったい何時だ。目覚し時計は6:30をさしている。どっちの6:30だ、おい・・・。と、我にかえって朝の6:30だと気付く。久しぶりに深く寝ていたと思う。自分の体内時計を信用できていない。7:00に起こしてくれ、7:00だってば。

右腕に頭が乗っていた体制で寝ていたため、しばらくの間、右腕がぶらーん、ぶらーん、とみじめに胴体からぶら下がってる。せっかくなのでぞうさんごっこを楽しむ。昨夜のショパンのピアノの音が循環。曲は覚えていない。ピアノの音だけ。これがまた心地よい。

クーラーをつけて、しばらく冷風にあたり、汗がひいてく。外は動け動けと僕に怒鳴りつけてるが、部屋は夜と同じ静けさのまま。カーテンを閉めて寝てしまったからかもしれない。カーテンを閉めて寝て、よかった。ゆっくりと出かける仕度をする。

最近ヒゲが伸びてくるのが早い。ほとんど毎日そらないとみっともない。髪の毛も伸びてきた。もうじき切りに行かなければ。ギター氏のメールを読み、音源を聞き、プレーヤーに落とし込む。出発して、モクを呑む。ライターの火が熱く感じない。喉を乾かす苦い煙が美味しく感じる。

説明しにくいが、今朝、気持ちはずっと夕方の6:30だった。今日の意味ある出来事は午前中に済ませてしまったような気がする。

6.27.2005

今夜だけは聞き手

久しぶりに一人の夜、である。ギターの弦を交換して、練習。一人だと、なんか気分が全然違う。よく分からないが。良くも悪くもない、違う感じです。少しギターを置いて、椅子に座って、ぐるぐる回ってみる。ぐるぐるぐる。ぐ~るぐる。ダメだ、頭悪すぎる・・・。なんで、俺はこんなに頭が悪いのだ!けしからん!責任者呼べ!私は、今、赤と青とシロのシマシマのパジャマを着ている。パジャマ風短パン。愛する妻よ、どこでこのパジャマを買ったというのだ・・・。多分、今の私に似合ってしまっている・・・という事実が実に腹立たしい。



若干テンションがおかしい。音楽のことでもがいてると思うんだが、ドヨヨンともがいてるわけじゃないんだけど、どっかがかゆいんだけど、どこだか分からない、ある意味ドヨヨンとしてた方が楽なのに、と思うような。う゛~ん、言葉の表現力が停滞・・・。まぁ、とにかく醜い姿なんですよ、今は・・・。ちょっと今日はコーヒーを飲みすぎたかもしれない。カフェインでラリることができることが、果たしてお得と言えるのだろうか。

最近、ジャンルに問わず歌ものを聞くのがしんどい。軽く頭痛がしてしまう。自分と比べようとしてるわけじゃないけど、呼吸だけは自然につられて、酸欠気味というか、めまい気味というか。なんかすごくイヤな気分になる。練習不足なんだなぁ、きっと。。。

と、何とか状況を打破するために、CDタワーに助けを求める・・・

ショパン。のくたーん。こんなの持ってたっけ・・・。
とりあえず、なんか、せっかくなんで、ショパンを爆音で・・・。

美味。

6.26.2005

カンバスを見つめる

15時頃、息子と2時間くらい、昼寝した。ビフテキ級の贅沢を満喫した気分。これほどすっきりした目覚めは本当に久しぶり。忘れないうちにこの思い出を書き込んでおく。

お米合衆国でお医者さんを務める、ヒナミ族自慢の長男から久しぶりにメールが届く。近況報告、頑張ってる?という。不思議にも、こっちが転機であったり、悩み事があるときにフラッとメールが来る。前もそうだった。昔のウルトラマンで、ゾフィーっていう名のウルトラマン知ってますか?半年に一度の本当にひん死のピンチのときくらいしか現れないのだが、出てくると、あ、もう大丈夫だ、と思えるんです。そんな兄貴なんです。私と違って相当頭がキレる。我輩はブラコン、である。

私の兄・姉というのは中々変わりもので、私の音楽活動を割と積極的に応援してくれてる。身内に応援されるのは、まぁ、こっ恥ずかしいのは確かなんだが、なんか、「今度の発表会、頑張ってね」的で、かといいながらやっぱりありがたいのである。きっと、何を聞かせても「良いじゃん」と言ってくれるのだと思う。でも、これはまったくの皮肉でも軽視でもなんでもなく、きっと、「お前が音楽やってるのはいいことだよ」ということなんだと思う。まぁ、そういう風に受け止めているのだ、少なくとも私は。

somatoneは今後も変わらず、前進します。ドラム師と別れるのはさびしいことです。1年間一緒に頑張ってきたわけだし。でも、結局は自分等が一番いいと思える音楽を作るため。どっしり構えて、ガツガツやって行きたいと思う。リーダーなんて肩書きはもうどうでもいいから、いい加減、人を引っ張れるようになりたい。ドラム師とは今後も良い関係でいられる気がする。

どなたか、ドラム叩ける方で知り合いがいれば、紹介してください(笑)。

6.23.2005

アダルト・チルドレン遊園

TBS放送センターの隣、かつての赤坂ブリッツの跡地に大型開発プロジェクトが2005年2月に着工したばかりです。39階建てのオフィスビルや21階建てのマンションを中心に、賃貸オフィス、数々の商業施設、ライブハウス(ふーん)や劇場ができる、そうです。丸の内ビル、六本木ヒルズ、日本橋COREDOに次ぎ、またしも東京の大人による、大人のためのスーパー消費パラダイス祭り、が一つ生まれてくるわけです。別にいいんですが。あくまでも私の庶民的レスポンスは「いらない」、なのですが。流行をどれだけ長引かせることができるのやら。



工事現場のフェンスをたどって歩くと、一ツ木通りという狭い下り道があって、その外れに、「港区一ツ木児童遊園」という、本当に本当に小さな公園があります。ブランコとか、すべり台とかが狭い割にはキレイに配置されてます。近くに学校があるという話は聞いたことがありますが、私はまだ一度もこの公園で子供が遊ぶところを見たことがありません。お昼休みに、サラリーマンの一人や二人がたむろしてタバコを呑む場所。

私自身、今日その公園で昼飯後の一服を。誰も遊ばない公園なのに、誰かがとても大事にしているようでした。タバコの吸殻が一つも見当たらず、砂はキレイに整備され、雨上がりにも関わらず遊具に泥が全然ついてない。本当に誰も遊ばないからキレイなのかもしれないけど。私の好きなエッセー作家が書いた話なのですが、結局、公園って大人が作るものであって、必ずしも公園作れば子供がよろこぶってわけじゃない、のよね。本当はあの開発プロジェクトの1万坪のうち50坪でも100坪でもかっさらって「原っぱ」にした方がよっぽどいい、と。

子供の形跡を最後まで探したわけですが、足元にチョコレートのクッキーのかけらが一つだけ、ありました。

6.22.2005

ヴァージン・ロード

誰のせいでもない理不尽なスケジュール故、赤坂の会社から下北沢のライブ会場へ直行。案の定、漫画のように道に迷い、のび太は汗ダクダクで楽屋にたどり着く。緊張のピークは昼飯後だったため、幸い精神状態はなんとなく安定。優等生を目指し、まずギタァの弦のチューニングを。「ライブの日だけ禁煙」はあえなく朝一で挫折してしまい、声の調子がやや心配。ザ・Yシャツでライブ、2度目。アホかと思うが、まぁいいかと。

対バンの方々のステージを見たり、メンバーと土壇場の曲構成変更の確認したり(somatoneよ、ええ加減にせい)。今夜はどのバンドもお歌がとても上手で。ほえー。こえー。プレッシャー。

somatoneの前のバンドが最後の曲を始めたところで、ここぞリーダーよっしゃと思い、「行こうぜい」というものの、「立って待つの疲れるから、もう少し待ってもいいんじゃない」とドラム師、ごもっとも。空気に、皆賛同。スベッテやった。ふふ。前バンド終了間際、メンバーはえっさほいさと武器を担いでステージへ、えっさほいさ。著者が夕方のリハーサルに間に合わなかったため、本番直前のリハーサルをさせてもらい、なんとか、演奏開始。ガレージさん、いつもご迷惑かけてスミマセン。ほんとうに。

ステージは無事終了。僕等にもったいないくらいのお褒めの言葉をいただき、素直によろこぶ。悪くなかったステージ。でも、次の山も越えたい。自然に出てくるもの、自分が完全に支配して創り出すもの、の違い。

こんな6月のレンチャンライブの真っ只中。出だしは良好、あとはフィニッシュへ。今の曲達に、いいピリオドを打ってやりたい。「コレデス」こんな曲に・・・育ちました?と伝えることが出来ればよいと思う。ベース嬢、ライブをこう沢山できると、ミュージシャンな気持ちだよね、と同感。一つ、小さくとも大事な、共有できた気持ち。

とりあえず、走る、こと。
歌、再び、反省、練習。
意味のある継続。継続。継続。

6.17.2005

みんな青が好き

大体、5,040種類の人間がいると思う。
誰も証明できていないだけ。かもしれない。
いや、証明してもしょうがないのは分かってるのだけど。

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫


虹ってこんな感じだったっけ。赤と黄色の間がオレンジで、黄色と青を混ぜると緑で、等々。でも、それはこういう並び方に対する名づけが決まりごとだから、みんな共有している知識だから。そう習ったわけでさ。これ以外に習い方なんてありえないわけで。一番左の「赤」。あの「リンゴ」は「赤」で、あの「空」は「青」で、さ。

それでも、僕が見ている「赤」は、他の人にとって「青」かもしれない。他の人の目と、仮に取り替えることができれば、あのリンゴは僕にとって何色に見えるだろう。もしかして僕の「青」に見えるかもしれない。その、他の人にとって、あくまでも僕の「青」だけど、「赤」の概念が引っ付いてる、僕の「青」に。「リンゴ」は赤い、赤は「怒り」と「情熱」の象徴、「血」も赤い、「ソ連の国旗」は「赤」かった。ソ連の国旗は僕の青だった。普通にその人と話してる分には、「あのリンゴが赤い」という事実に変わりはない。お互い、あの虹の順番は絶対の事実だから。

7人に1人は、僕の「青」が他人の「青」と一致するが、残りの6色については、6分の1の確率、その後は5分の1・・・と永遠と確率が遠ざかることになる。7 x 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1。僕と同じ色彩を見れる人は5,040分の1。間の色を全部考えると、無限?誰一人、同じ色彩を見てる人がいない、ということもあり得るのかな?

あなたの好きな色はなんですか、と聞くと、当然のように色んな答えが出てくるだろうが、本当はみんな、僕の好きな「青」で、みんな同じ、かもしれない。

6.14.2005

紫外線を浴びながら

妻はミノモンタとやらによく影響される。先週末、ミノモンタのアドバイスがきっかけで墨田区は錦糸町の丸井のデパートへ。梅雨入り、曇り、熱い。外はギンギンでなくても、紫外線は強いらしい。紫外線が強いと、顔と頭皮によくないらしい。ということで、紫外線防止帽子を買うことに。ピンク色の、メッシュの野球帽。二人して、すこし背伸び感はあるが若返った気分にひたる。

帽子と、ほかに妻が購入した靴下が入った小さな紙袋をベビーカーのフックにかけて、デパートを出る。横断歩道の手前に、カサをかぶったお坊さんがつったっていて、チリーンと鈴を鳴らしながらお椀(用語が間違っていたらごめんなさい)を持っている。私は仏教徒に詳しくないが、妻の話だと、修行中のボウサンだそうな。いろんなところを旅しながら、何かとがんばるらしい。全国ヒッチハイクを連想する。電車とか、バスとかで移動するんだろうか。一つの場所で何日過ごすかは、どのように決めるのだろう。とにかく謎だらけだ。詳しい人がいれば、是非教えてほしい。

「くれるんだったらくれ」

なんだろ。ボウサンの朴訥としたスタンスが好きだ。ぎゃ-ぎゃ-罪悪感を振り回して、「あるのわかってんだからよこせ」的な呼びかけとは一味も二味も違う。以前、千葉ミッキー国に行ってきたとき、青山学院の学生が舞浜駅の改札であるNPOの募金を集めていて、そりゃあもうお祭り状態で叫んでいた。そりゃあ、自身持つわな。金ワンサカ使ってきたミッキー国から帰ってくる人たちを不意打ちするんだから・・・。「まだあるんだろ、えぇ?落としてけよ」。直感的に、このやり方は乱暴すぎると思って、あげなかった。なんか、ずるいじゃん。俺が間違ってるのか?それとも、ボウサンがこれを見習うべきなのか?

でも、私はこのボウサンの旅を助けたいと思った。こういうときは子供が便利だ。ほら、おじちゃんのお椀にポイって入れてごらん。おりこーさん。ボウサンはチリ-ンと鈴をならして、

ゆっくり

お辞儀を

する

これだけ

ゆっくり

お辞儀

すれば

どれだけ

ありがたい





わる

でしょ?

といわんばかりに。子供にバイバイを言わせたら、ボウサンはしゃべらんが、突然チリリリリーーンと鈴の連打をサービスしてくれた。え、連打ってアリなの・・・?顔がカサで隠れててよく見えなかったが、ボウサンの口の両端は間違いなくマンベンの笑顔になっていた。よくわからないが、とても貴重なモノを見てしまった気がしてならない。

別に詐欺でもよかったかな。

6.10.2005

小学夏自由研究風味

この数日間、ひたすら、息を吐いてる。すッと息を吸っては、ふー。すッと息を吸っては、ふー。生まれて初めて、腹呼吸というヤツをしてる(意図的に)。呼吸、だけだが、出来るようになったのが嬉しくて、電車の中も、会社でも、コンビニでも、便所でもすッと息を吸っては、ふーーーーーー。周りの人から見れば、もっぱら変人かもしれない。まぁ・・・いいや。腹回りが既に筋肉痛。頭がフラフラしてきた。脳細胞、何匹か吹っ飛んだか・・・。ん・・・脳細胞吹っ飛んで、果たしてこれで正しいのか?こんなに空気を体に蓄えられることができるのか。体力消耗が激しいが、なんてズルイ裏技なんだ・・・。もう肺、ボク、いらない。

ちょっと音楽日記っぽい内容になってしまったが、歌の基礎なんだそうだ。この腹呼吸というヤツは。まぁ、基礎うんぬんかんぬんはクソ食らえなんだが、最近、呼吸の余裕があまり無かった。肺は、肺だけピンでそれなりによく頑張ってくれてたと思うんだけど。伸びないし、唐突に途切れるし。でも、この腹呼吸とやらで、なんとなく、出口が見えたかもしれない。いや、今後こいつを出口の足がかりにしたい。安心して歌えたことに越したことはない、し。まだまだ実践にあたって課題はあるが。ギター吊るした状態でできるかどうか、一曲ぶっ続けでできるかどうか。

ギター氏は、「まぁ、気持ちだよ」と言うが、歌を総じて見ればごもっともなんだ。でも、そう気持ち良く気持ちを入れるためにも、どうしても、無意識にできるなるまで、みっちりコイツを身に付けたい。トランペットで音自体を出せるようになるような、一歩目だと思ってる。

けいすけ
ゆり組

6.09.2005

当たり前なメニュー

このごろ、なぜか身内達は歯医者ブーム(?)だ。歯がかけてしまった、矯正、虫歯、それぞれの理由があって、とくに総じて理由があるわけでない。ちなみに私も今週の土曜日に歯医者さんに行く。受付のおねーさまが非っ常にキレイなので、そして虫歯がないことはもう分かっているので、ちょっと楽しみだったりする。受付さんは長い、茶髪のくるくるパーマで、目がクリッとしてて、アンタこれでこの職に就いたなと思わせるそれはまぁキレイな歯。言葉であらわすと結構派手、な印象かもしれんが、決して派手でない。むしろ控えめな感じ、不思議にも。帰り際の「お大事に♪」が楽しみだ。いい加減、ヒナミのアフォたれ、である。クールに「ども」と返すはずが、「ありがとうございます!」と出てしまう、正真正銘の。

半年に一度は歯医者に行くモンなんだと、歯医者は当たり前のように言う。トーゼンなんだと。しかし、現実はそんなものでないのは皆さん既にお分かりでしょう。いける時に行く、なにか壊れたら行く、という。別に歯医者の常識を否定するわけでないが、どれだけ今の生活に「当たり前のようにやるべきこと」があるだろうか。音楽活動、家族サービス、歯医者・医者、遺言作り、貯金、職場の机周りの整理、家の写真のアルバムの整理、生命保険、学資保険、本を読む、鼻毛の処理、新聞を読む、次の仕事のプロジェクトを練る・・・キリがないのである。個別にとれば大したことないが、こう羅列してみると、あれ、俺の生活はどこへ・・・と思えてしまうのである。これらの集合体が、俺の生活はそれに過ぎないのか・・・?となると、結局は必要性があるものから順に実行されていくわけで。

大学時代に、学生同士のモットー、というか言い伝え、があった。「遊び、成績、睡眠の内二つ選べ。」まさにそれの拡大バージョン。

当たり前なことを全部できる、以上に優秀はなかろう。
私は凡人なので、当たり前なことを全部、できない。
いや、できるわけないのはもう分かったからさ、何に注力しまくるのか。
夢、健康、鼻毛の処理。

6.08.2005

願望的思考

この数ヶ月、声の調子が悪い。とにかく伸びない、伸びない、伸びない。のである。その前も特にキレイに伸びてたわけでないが、明らかに、前より伸びなくなってる。タンが詰まってるわけでなく、もっと渇いた、何かが喉の奥で声を押し殺している感じだ。最近よく、むせる。

男はスタジオに、練習しに行く。バンドのメンバーでは、気付いてる者、気付いていない者もいる。男はなるべく丁寧に、少しずつ、ゆるやかに声を出すようにするが、長い音符になると、肺の空気がなくなるとたんに途切れてしまうか、再びむせる。聞き手によっては大して気にならないミスかもしれない。聞き手によっては痛恨のミスかもしれない。気付いているメンバーとしては耳ざわりだし、不安を催す。次のライブは大丈夫か。しかし、男は誰よりも不安だ。唯一の救いは、打つ手はまだまだあることくらいだ。

腹筋、睡眠、ダイエットコーラ、背筋、立つ、座る、クビを締めすぎないエリ周り、寝そべる、腰周りを締めすぎないジーパン、朝、ほっとレモン、ホカロン、敢えて睡眠不足、暖かいお茶、冷たいドクターペッパー、痩せる、煙草のタール減少、昼、練習前におもいっきり煙草の煙でわざとむせてみる、禁煙、肺で歌う、よくわからないけど腹で歌う、太る、練習前に妻と喧嘩、練習前に子供と遊び、風呂に入ってるつもりで歌う、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日、そして、練習しまくる、練習全然しない、結局練習。まだまだある。まだまだある。

咳があまりにもひどくなって、一旦男は退室し、手洗いに向かう。戸を閉める間もなく、「物体」が喉を上って来る感覚。呼吸ができなくなり、混乱し、目からは大粒の涙、シャツがグショグショになるほど汗が流れ出る。役に立たない手足。おごっ、と、口から、物体が、床にカランと落ちる。まぎれもなく、ひらがなの「ご」。血で少し汚れた「ご」。口中に甘酸っぱい、痛く、熱い胃液の味が広がる。男は両手で「ご」を床から拾い上げ、その場で泣き崩れてしまう。

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個人用メモ:答えはきっと腹にあるのかな?

6.07.2005

ユートピア

場所は大企業の社長室。部屋の中心に、大の大人が横たわれるくらいの立派なコゲ茶色のデスクと深緑の革張りの大きな椅子。両方とも外国からわざわざ、取り寄せてきたものだった。昭和初期生まれの人間にはどう見ても大きすぎる椅子。社長は私を社長室に呼び込む。大事な取引先のお偉いさんと、食事を設定したいらしい。あれだ、新しくできた、流行の麻布のフランス料理店だ。東京中の一流シェフが、そこに集まってきてるそうではないか。そこを予約しろ。今すぐ。私は社長に、多分あそこはムリですよ、と警告したが、私を誰だと思ってる、極めて不愉快だ!といわんばかりに、部屋から追い出される。木曜日の7時の予約を取ってくるまで帰ってくるな、と。

「席」は問題なく予約できたのだった。ただ、問題は席の確保ではない。東京中の一流シェフがこの店に集まることには理由がある。社長は得意げに、取引先と席につく。俺はいつでも好きなところで食べれるのだ。ウェイターに、最高級のコース料理を持ってくるように命じる。

「お客様は大変ツウなのですね。通れば、よろこんでお持ちしましょう。では早速、筆記試験と面接を受けていただきます。」

「なんの冗談だ。」

「冗談などございません。私どもは最高級のフランス料理を提供しますが、それを食すお客様も最高級でなければ料理の価値をお分かりいただけません。我々のシェフは、お客様のレベルに合った料理をお出しします。では、頑張ってください。」

筆記はフランス料理の基礎材料や、ワインの種類やヴィンテージ、テーブルマナー等について、面接はフランス語で行われた。サラリーマン社長ごときがパン以上のものを口に出来なかったのは言うまでもない。育ちながらも、何を食べているかを考えたこともなかったのだから、しょうがない。皮肉にも、今までに食べたことのないくらい美味いパンだったらしい。

帰りにラーメンを食べたそうだ。

6.06.2005

カルーセル、カルーセル

本日もエクセルと共に数字をカチカチ、コロコロ、グルグルピッ。午後19時ごろ、帰宅間際、副作用で下の文が出てきた。現在22時過ぎ、私は自分の部屋で寝る支度をしている。カミサンに、よく冷えた、でっかいキュウリをもらってかじっていたのだが、なんだか体が浄化された気分でいる。珍しいキュウリ。トゲトゲがないキュウリなんだけど、イキがよく、歯ごたえがすごく良い。ナイス・寝る前のキュウリと気の利くカミサン。ぱちぱち。

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端折り書きで失礼です。生放送です。ヘッドフォンのBGMにつられて。日曜日は、久しく近所にある中国気功整体屋さんに行ってきました。事情はですね、アトピーなんです。慢性的なモノですが、時にはひどくなったり、そうでなかったり。ひどいときは本当に、髪の毛むしっちゃうもんね状態で、そうでないときは、まぁ、誰にもばれない程度で。昔からアトピーの傷が沢山あって、私の体は醜くなってゆく一方で(笑)。アイドル道はとっくの昔に諦めているので、とりあえず発作だけでも抑えられれば、と思い、いろんなお医者さんを転々と食べ歩きしている中学校以来。いまや私なりの気休め、金のはけ口、ヒマ潰しであり、アリアリアリ。歌も、アリ意味、私にとって単発の治療であって。歌ってるときは、不思議とかゆみが引くのですよ。本当に。不思議に、物理的に。こりゃあ、絶対本売れねぇな。歌って直すアトピー。売れない売れない。なんでこういう風に歌うようになったか。そうそう。お母さん、この2年間は本当にひどかったよ。でも今は調子が少しよくなったさ。

整体屋さんの好きなところは、敢えて何も説明しないところ。お医者さんは、いつも私の背中にポコポコ吸盤を乗せて、位置を変える時以外、1時間くらい放置。何も説明を加えない。「今日調子はどう?ふーん。」終わり。「今日はきっと良く眠れるよ。」直談判したよ、一度だけ。「余分な液を抜くんだよ」。はぁ。日曜日行ったときは、初めて、本格的なハリをブスブス、不意打ちでやられた。「えっ、それなに」と言うスキもなく、気付けば金縛り。でも、これくらいの謎がちょうどいいんだと思う。僕が必要としてるのは、学校の先生じゃなくて、医療の先生なのよ・・・。

フツーの病院だと、最近やたら解説が細かい、逆に理解できない程細かい。丁寧なのは嬉しいんだけど。わからないながらうっすらと聞いたことあるような話の匂いがして、どうも、薬を持って病院を出ても、あ、治らなさそう、とそういう気がしてしまう。テンションがもう、その時点で低い。オテント様ぽかぽかな、そんな日もあった。お天気が治りそうというのに、分かってた。その時点でダメなんだと思う。反省。アトピーって、気のせいかもしれないけど、「治る気」がしないと収まらない。精神論、うんぬんとかじゃあないけど。どれだけステロイドがブッこまれていようと、どれだけ刺激物がなかろうと、「治る気」がないと収まらない。だから、僕は治らなかったんだと思う。反省。アル意味自滅しちゃったのかしら。でもまた、フツーの病院もいずれは再びつまみ食いしに行くのだと思う。

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ぜっ不調やん、と人事のように思う。実際、さほど調子悪いわけでない。ザッツ・生放送と割り切ってそのまま公開するべきか否か迷った挙句、一旦帰って、風呂入って、キュウリをかじってまた読み直してみる。

オレッチ、現代っ子で、ロックで、そして。すんげーどんより根暗なの。なーんてことを考えているのかしら。いや、いたってフツーな凡人クラスなのだ。百歩譲って若干もがいてるくらいで。それと、ちょっと最近、荒波かしら、程度。

なんだかバランスって難しいね。
つまらんオチだ。

6.03.2005

0番目のドミノ

「今から帰るよ。」

男は毎晩、職場を出るときに、女に一本の電話を入れる習慣があった。女が要望していたわけでもなく、男はお世辞でも律儀ともいえないが、結婚生活10年間の<どこか>で、二人の間にそういった習慣が成り立っていた。些細なことながら、二人は毎日、一度は、このわずか10秒、20秒のやりとりでも夫婦らしさを実感することができていた。

「パパが帰ってくるわよ。」

電話をおくと、女はそう言いながら玄関のカギを開けに行き、子供はドタドタと彼女を追う。カチ。そして、自分と子供の風呂の準備をする。二人だと風呂が長いため、入る前にカギを開けておくのだった。

そして、今夜も電話が掛かってくる。

「今から帰るよ。」
「今日は携帯からなのね。」
「あぁ、うん。」
「今どこ?」
「会社を出たばかりだよ。」
「あぁ、そうなの。じゃあ、気をつけてね。」
「はいはい。じゃあ、ね。」

23秒経過。

6.02.2005

手放しても良い「自分」

僕の特技がなんだって?ベイビー忘れるんじゃないゼ。それは、歌とギターに決まってるじゃないか、ちっちっちっ。困った子猫ちゃんだ。さぁ、そんなことよりも、僕と一緒に江ノ電にでも乗って、無邪気に波と戯れに行こうじゃあないか。ついでに鎌倉の横道を探索して、誰も知らなさそうなお寺でお茶をして、シュールなヒトトキを過ごそうよ。<BGM流れ、画面はフェードアウト。最後には幸せな二人の笑い声だけが残る>アハハ、アハ、アハハハハ♪完。

未だ80年代から抜け出せてない。テレビの見すぎである。このようにいつか(誰かに)、<自身満々>で言ってみたい気持ちはヤマヤマなんだが、残念ながら今はまだそうでない。勘違いはしないでほしい。もちろん、今、何よりも心と時間と金を注ぎ込んでいることには間違いない。何よりもスキ、というのも間違いない。ただ、私の、今現在、誰にも負けない何か、というのは・・・。

エクセルの操作である。表計算の、アレ。マスがいっぱいあって、数字がいっぱいある、アレ。私は、エクセル打ちが新幹線なみに早い。ショートカットも関数もほとんど体が覚えてる。マウスなし、キーボードオンリーのスーパーマニア級である。どういった場面でエクセルがバグるか、ヤツの長所も短所も、ご機嫌なときも不機嫌なときも、肌で分かる。悪いけど、エクセルだけに関しては自信が、あるんだもん。あるって言えばあるのである。である。色んな意味でとんでもないオチだ。てか、私自身が一番凹むオチ、である。なんとかこの状態から脱出しなければ、というこの焦り、このままで終わってはならない、このモヤモヤとしたムズムズ、が諸君に伝わっているだろうか。

とにかく、エクセルのように、歌を自分のモノにしたい。
エクセルよ、お前が悪いんじゃない。
それだけ。
おしまい。

情熱のランバダ

カマキリさんっているじゃあないですか。誰もが小学校とかどこかで聞いたことある話かと思いますが、カマキリが交尾する際、♀が♂を食べてしまうそうですね。さらに、ここからは本当かどうか分かりませんが、♂は♀に頭チョンパされることによって、はじめて「射精」の動作が可能となる、という説も聞いたことがあります。チョンパされないとできないんだそうです。いずれにしても、♀の妊娠中に必要な栄養を、♂が自分の体でまかなっている、というすこしロマンチックな解釈もできますね。会社で適当に稼いできて、たまに家事手伝いするっちゅう次元とは少し、違いますね。まぁ、こういった動物界の不思議を、人間が感情移入することによって完全に把握できるとは思えない。が、無謀にも、チャレンジしてみてはどうだろう。やって見ないことにはわからないよね。


♂「あ~もう終わりなのね。終わり終わり。エッチで終われてよかったなぁ。」
♀「いくわよ~。」
♂「おう。」
ぶちっ。
カクカク。


♂「じゃあ、ホテルで一休みでもしようか・・・え、な、なに!?」
♀「・・・(よだれ)」
♂「ぎゃぁぁあああ」
ぶちっ。
カクカク。


♂「いいから、一思いにやれ!やるんだ、カナコ!お前のためだ!」
♀「いやよいやよ、あなたがいなきゃあ、あたし生きていけないの!」
♂「うるせー、子供のことを考えろ!」
ぶちっ。
カクカク。

まぁ、キリがないということで・・・。
でも、カマキリさんの観点で、人間の子作りはどう思われるだろう。

♀「逃がしちゃって、もったいない・・・」