4.30.2008

この展開は認めない

先週のいつだったか。夢を見ました。

内容はハッキリ覚えていませんが、自分のことなので、多分食べ物のことかそのような平凡な夢をヌクヌクみていたのだと思います。目が覚める直前に、妙な方向に展開することはありませんか?先週の私の夢では、夢とはいえとてもおかしい展開になりました。

昔の映画でみたことあるような、白黒の戦場でした。ガレキの山と化した街で、私は大きな銃を抱えながら走り回っていました。現実でも夢でも、私は銃を打ったことがあるどころか、実物を握ったこともありません。やがて敵軍と思われる人影がいくつかヒョコヒョコ現れ始め、私は何度も何度も銃を狙って引き金を引きました。銃弾が敵軍の人影にあたると、あぁぁぁぁ、という声とともに生々しく倒れていきました。それでも命中したタマはほんのわずかで、人影が数秒ごとに増えるなか私一人の銃ではとうてい処理しきれないほど状況は悪化していきました。それでも、頭の片隅で、なんとかなっちゃうんじゃないか、なんて思えた自分がいました。

それは、相手が銃を撃ちはじめるまでのことで。

私が倒せなかった人影が一斉に銃を構えるのが見えました。戦争においては当然のことなんでしょうが、夢の自分は、おーい、反撃なんてありかよ、と理不尽にも本気でメゲていました。本当に恐かったんですわ。あれ、これあたったら死ぬ系ですよね、という感じで。ところが、ランボー映画のごとく、敵軍の射的能力が相当ヘボいのはお約束であって、チビリそうとはいえ一応主人公である私にはなかなか当たらなかった。

ひえーごめんなさい、と言いかけたところで目が覚めました。

いやだいやだ。

4.24.2008

いちまいのお皿

遠い未来、何千年も経てば、考古学者という職業が世の中から姿を消してしまうのかもしれない。消えて欲しいのではない。悲しいことに不必要になってしまうのだ。
今は必要だ。大昔の人は不親切なことにロクなヒントを残してくれなかった。皿だの骨だの、そんな小粒なものから当時の出来事とか生活習慣を推測することしか出来ない。たかが皿、骨から。なかなか至難の技ではないかと素人でもわかる。まあ、彼らだって色々大変だっただろうからウン千年後の人類の心配してる場合じゃなかっただらうし、責めに値しないのは当然であって。

それに振り替えていまはどうだろう。敢えて考えてみて、いまの人類はウン千年後の人類に十分の情報を残しているだろうか。敢えて考えてみて、笑っちゃうくらい十分残してるのではないかと思う。一枚の皿どころか、一人一人の人間について細かい生い立ちは役所に残され、生活はクレジットカードのデータとして生々しく現れ、そして無数の博物館、写真アルバム、書籍ブログメール音楽。なにが怖くてこれ程ものが蓄積されてきたのだか。

足跡がはっきりし過ぎて、ウン千年後に考古学者がいたとしても偉く退屈な仕事となることだけは間違いないと思う。

一応、ウン千年後の考古学者であるあなたに断っておく。ごめん。

4.16.2008

多少サビてる方が自然

あなた、来週の火曜日、何の日か覚えてる?

え〜と。

結婚記念日よ。まったく、仕方がないわね。
17年目にもなれば、無理ないことかもしれないけど。

ああ、わるいわるい。そうか、もう17年も経つのか。
じゃあ、その日はご飯でも食べにいこうか。

そうね。じゃあ、お店選びは任せるわ。
ねえ。

ん?

あなた、プロポーズの言葉って覚えてる?

んん。

忘れたの?

いや、忘れたわけじゃないけど。
わざわざ口にすることかい?

あら、こういう思い出を共有するのはとても素敵なことだと思うけど。

いや、それでもだな。

あたしはハッキリ覚えてるわ。
あのレストランで指輪をくれたとき。

指輪?ああ、あの日のことか。

あの日って、それ以外どの日のことを言ってると思ったの?

いや、俺はプロポーズした日は違う日だと思ってたからさ。
ほら、あのいつものラブホテルの部屋で言ったじゃない。
「いっそのこと一緒に暮らそうか」って。

あらやだ、あなたそれがプロポーズの言葉?
ちょっとゲンメツだわ。

仕方がないじゃないか、俺はその時プロポーズしてるつもりだったんだから。
指輪は、単にその後に渡しただけで。

4.09.2008

業務連絡:ok city okのライブ

4月20日(日)に仲良くさせていただいてるok city okのライブに参加します。小職はギターとバイオリンです。ok city okはいつもガッツリ楽しいライブをしてくれるバンドなので、是非遊びに来てください。ガッツリ。とても楽しい。おいで。ボク、がんばる。

サウンドはなんて説明すればいいのかな。ザックリ。ウネウネ。ドーンドーン。ペケペケウニュウニュ。ドーン。正義感に溢れ、紳士にかき鳴らすフィードバックギターとシャガレ声。ゴリゴリラインの美女ベース。ドラム、ニタニタ、貫禄ビート。一緒にプレーしてて、とても幸せになるので、きっと聴き手もきっと。バンドマンな人も、そうでない人も。

ウソじゃないぞ。

4月20日(日)
KOENJI HIGH
http://www.koenji-high.com/

OK CITY OK
http://www.okcityok.com/

お問い合わせは「自己紹介」欄のメールアドレスまでどうぞ。

4.07.2008

昔々、そのまた昔

バニラ味の反対がチョコレート味だと思い込んでいた。

心臓切開手術

四人の男女が飲み屋に入った。
座敷席しか空きがなく、若い男二人は
どうぞどうぞ、と女性を先に席に上がらせた。

友子という女性はしゃがんでパンプスを外し、つま先を外向きに、きれいに揃えて座敷に上がる。もう一人の由美子という女性は、段差に座ってから足を組み、足を手の届くところまで持ち上げて両足のパンプスを外した。源治と勝、二人の男性は二人並んで立ったまま、右足で左足のカカトを踏んで靴を脱ぎ、右足を持ち上げてもう片方の靴を脱いだ。

友子は座敷でも脚を揃えてお姉さん座り。
由美子、源治と勝はあぐらをかいて座った。

由美子は言う

私、結婚相手が見つかったのよ。多分、来年の六月に挙式をあげるわ。バーで出会ってから半年だけだけど、普段の彼はとてもやさしいの。でも、出会いが出会いだから私の親が大反対なのよ。仕事は自営業で、よく分からないんだけどインターネットの仕事をしてるわ。最近大変そうで、もしかして結婚自体、話が流れちゃうかもしれなくてとても心配なの。近頃、あまり電話かけてくれないのよね。出会ったバーに最近一人でよく行くんだけど、バーのお客さんからあの人の噂をよく耳にするんだけど、掘れば掘るほど良くなくて。

友子は言う

私、父が前立腺癌で入院してるの。早期発見とは言えなくて、ちょっとなんだけど体の他のところにも転移しているみたいで。詳しくはないんだけど医者の表情からなんとなく雰囲気で分かるわ。母も若くないから、一人でやっていけるか心配なの。私一人っ子だから、しかも新しい仕事に就いたばっかりだし老人ホームに入れるお金もないのよね。しかも最近、何年も連絡取ってなかった親戚からやたら電話がかかってくるのよ。本当、イヤになっちゃうわ。あと、会社のセクハラ上司が最近猛アタック気味なの。

勝は言う

私、先日原付に乗ってたら交通事故がありまして。歩行者の相手は大した怪我じゃないんだけど、軽く骨折してた見たいで。現場では大丈夫そうだったし、こっちだって100%悪いとは思ってなかったから言い合いしちゃって。今は保険会社から毎日電話がかかってきていて、やれ見舞金だ、やれ裁判だ、もう散々です。あと、最近株でボロ負けしていて。

源治は言う

私、今離婚沙汰の渦中で。たまたま、他の人を好きになっちゃって色々あって。妻は口をきいてくれないし、子供にもかなり喋ってるみたいなんです。悪いのは基本的に私だから強くいえませんが、できれば娘に対してはそういうことをもう少しデリケートに表現してもらいたいと思っています。いまさらですが。あと、中々仕事に就いてくれない弟が最近、金貸してくれってうるさいんです。

4.04.2008

牛乳を買いに

そのスーツの男は、マンションの側にある自転車置き場を物色していた。外はもう薄暗く、僕は彼の顔を確認することが出来なかった。彼は何かを探しているようで、そのうち何かに出会ったかのように、あるママチャリのところで足を止めた。そのママチャリは赤い自転車で、前と後ろの両方にカゴがついていた。僕は恐らく、その自転車は彼の物ではないと思った。

その自転車には鍵もチェーンもかかっておらず、男はそれを知っているかのようにスタンドを上げて、ハンドルを握って自転車をゲートから取り出した。一旦スタンドをもう一度下げて、サドルの高さを確認していた。サドルは腰の位置より低く、このままではまともにペダルをこぐことができない。スーツの男は調整を試みた。

自転車はとても古いようで、サドルのネジを緩めるのに大分力が必要だったようだ。その後ネジが緩んだのはいいが、サドルが差し込んであるパイプも中からサビついてるようで、引っ張ってもなかなかあがらない。男は力任せに引っ張ると、サドルごとパイプから抜けてしまい、男はしりもちをついた。左手にはサドル、右手は地面、尻も地面。自転車は倒れていた。再度サドルをはめようとするが、これがなかなかはまらない。

スーツの男はサドルをはめることを諦め、自転車のスタンドを再び下げ、サドルのない自転車にまたがった。いわゆる立ちこぎスタイルで出発を決心したようだ。

スーツの男は思いのほか運転は下手くそで、フラフラしながら夜道の中へ消えていった。

僕はその自転車置き場に入り、取り残されたサドルを拾い上げた。
接続の部分はやはり相当サビついていた。