10.21.2008

あなたに任せた

友美はこう語る。

あたし自分の人生振り返って、これといって人様の役に立った試しがないと思ったの。親孝行だって大してしてないし、ケッコンとかダンナというものに尽くすってのも興味ないしさ。トモダチはいるけど、トモダチってのは「お互い様」でさ。

赤の他人のためのボランティアなんて、絶対あたしには無理。人のために生涯かけるっての?あたしには無理なんだけど、なんだけどね、本当はすごいことだと分かってるの。無理なんだけどすばらしい、って少し矛盾してるかもしれないけど、本当に尊敬できると思うの。そういうことが出来る人。あたしそんなタマじゃないから。

そしてね、あたし悪あがきじゃないけど生きてる間に一つだけでも良いことしておこうって思ったわけ。あまり高いところ狙えないから、一つ、分かりやすいのを単発で。思い出を作る気持ちで。本当にすごいのは人助け出来る人だから、あたしは、人助けする人を少し助けられればと思った。そしてね、改めて誰を助けたいか考えたんだけど。例えば、貧しい人を助ける人とか、木を植える人とか、病気の人を助ける人とか。

あたしなりに考えて、あたしが一番助けたい偉い人は、子供作る人だと思ったの。全部ひっくるめて、それでも人を増やして育ててやるぅ、みたいな勢い。なかでも、子供を産んだり育てたりしたいのに、作れない人がいるのが、世の中的にとても気の毒だと思ったの。そんなわけで、あたし決めたの。代理出産するって。それだったら、あたしの身体一つで出来ることかな、て思ってね。その時はまだそんな人知らなかったけど、きっと、そんな悩み持ってる人で悪い人はいないと思ったの。

探したわ。
悪あがきにしては結構大変だったけど。

売り込みじゃないけど、インターネットとか使って悩んでる人見つけて、声かけたりしてさ。まず信じてもらうのに苦労したけど。からかわないで、と逆に怒られたり。一年が長いのか短いのか分からないけど、佐々木夫婦と最終的に出会えてとてもよかった。海外の病院に一緒に行ったんだけど、行きも帰りも、何度も何度もお礼されちゃって。

お礼されるためにやったわけじゃないけど、とにかく上手くいけばいいな、て思った。がんばれあたしの身体、って。