4.29.2009

12キロの聞き手

ヒナミケイスケです。

今日はヨメと長男がお出かけだったので、久しぶりに我が家の1才半の次男坊と二人で過ごしました。小学生になったばかりの上の子はすっかりママっ子ですが、なぜか下の方は僕になついてくれています。これは、素直にとても嬉しい、そしてすげー助かる、ことです。ギャグのレパートリーの乏しさを許してくれているというか、ご飯の食べさせ方が下手でもイライラせずにむしろニタニタしていたり、都合が良いときに昼寝してくれたり。ひょっとして逆に気を使われているのではないかしら、とふと思いました。

公園で遊んだり、買い物に行ったり、車でウロウロしてたりしました。ちょっと自慢ですが、この子の音楽の趣味は結構イケてる気がします。車で童謡を流すとおとなしく聞いてましたが、色々試してみた結果、the fratellisのアルバムが一番気に入ったようです。体を揺らしてノリノリだったのはびっくりしました。これは・・・遊べそうです。

赤ちゃんは言葉を発する前、短い間ではありますが他人の言葉を理解だけしていることが見受けられる時期があります。そこまで来たら本人は喋りたくてウズウズしてる訳ですから、転がるように喋るようになるんですが。でもこの数週間の間、「ちょうだい」とか「おいで」とか「いい子いい子してごらん」とか「コラやめなさい」がスッと伝わっているようで面白いです。

でもなぁ、もう喋っちゃうのかぁ、と思うとなんだか、ね。

喋る口がまた一つ増えるのかぁ、と。

出来ることならもう1年くらい喋れなくても良いぞ、なんて。

4.24.2009

鳩のペースで歩く

正午の公園は、人でいっぱいだった。よく晴れた日だったので、多くの人はお弁当なりコンビニで買ってきたお握りを持って自然と集まってくるのだった。この公園は都会のオフィス街のど真ん中にある割りには広い。入り口から入り広場を真っ直ぐ進むと、奥の奥のそのまた奥に、子供の遊技道具がそろった猫の額のような広場がもう一つある。滑り台、ジャングルジム、ブランコの三点が義務的に設置されている。子供広場は木陰に囲まれ、今一つ人を寄せ付けない雰囲気がただよう。子供は一人もおらず、さっきの大きい広場で席を確保できなかったと思われる会社員が一人淋しくブランコでサンドイッチを食べている。

時は2031年、これが、大人が快適に暮らすまち大東京。いま私たちがいる場所には昔、大手商社の本社ビルが建っていた。オリンピックの年に会社が傾きはじめ、翌々年には完全に姿を消した。跡地の扱いについてはその後行政が踏み込んで、都会の緑化の一環で公園にすることになった。子供が遊べる広場を作るべきか、いまや生まれてくる望みが薄まるばかりの子供のためにどれだけ労力をかけるのか、いやいやそんなこと言うのであれば子孫のための緑化っていったい、と、さんざんやり合った結果が今の公園の姿だ。

時刻はもうすぐ13時、ちらほら大人たちが片付けて会社に戻り始める。一人の女性が乳母車を押して公園に入り、小さい方の広場に義務的に向かう。すれ違った会社員の何人かは、こんにちはと母親に挨拶を交わしたり、寝起きで少しご機嫌ナナメ気味な女の子の顔をみて微笑む。

4.16.2009

ナミヘイに会った

今朝、バス停での出来事です。

列の先頭に中学生の男の子が2、3人集まっていました。学生服は少しダボダボ、声は少し大きめ、眉毛ちょっとイジり過ぎた具合の、いわばチョイ悪風の中学生でした。言いかえればごくごく普通の中学生だということになるかもしれません。その中学生たちの後ろには40代か50代くらいの男性会社員が一人、そして私。

前の便が発車したばかりだったためか、今日はバスが来るまで大分待ったような気がします。その間、私の後ろにずらーっと列が長くなっていきました。そこで、新しく中学生が2人、結構豪快に列に割り込んで先頭に立っていた子たちと合流してしまいました。あれーと思いつつも、ちょうどそのタイミングでたどり着いたバスが結構空いてたので、まぁいいや俺乗れるし、と思い、私はその場はスルーすることにしました。

ところが、私の前に立っていた会社員は実はとても勇敢な方で、中学生たちが乗り込むまえに半場強引にバスに乗り込み、お前らはちゃんと列の後ろで待ってから乗れ、と長ーい列に指をさして淡々と言い捨てました。特に大きな声でもなかったのに、迫力満点でした。あれーと思いつつも、私はその勇敢な背中を追いかけてバスに乗りました。自分だけのことじゃなくて列のみなさんの気持を代弁できたおっさん偉すぎ、と思ったのと、自分もまだまだ未熟だな、と思わせる瞬間でした。

あっけにとられた中学生。いつの間にやら怒鳴られるわ、先を越されるわで踏んだり蹴ったりなわけです。ただ、残念ながらこういった瞬時の修羅場には弱いようで、悔しい表情をしながら、必死に、何か言い返さなきゃ、と一生懸命考えてるのが分かりました。ただ、おじさんはショッカーのように攻撃されるのをつったって待つ暇なんぞないので、バスの中に消えていきます。

彼の姿を見失う前に、焦った一人の中学生が小さな声で発した言葉はまったくもって意味不明でしたが、なんとなく彼らの微笑ましい心の現われだったような気がします。

「うるせえ、クソガキ」

その後、バスの中で彼らの様子をチラっと見てみたら、みなさん黙って恥ずかしそうに床とにらめっこしていました。がんばれチューボー。

4.14.2009

業務連絡:ライブ

四月です。大分、暖かくなってきましたね。

最近は、ひっそりと曲を書き続けるのと同時に、black boxの皆様とマンスリーイベントをやったり、近々開催される「廃校フェス」の準備をしたり、北米ツアーからようやく帰ってきたok city okの人と会ったり、たりたり。ゴールデンウィーク前後は何かとライブやイベントが集中してて、大変だけれども毎年楽しみな時期です。

趣味というほどでもありませんが、昔やってたお菓子作りのレパートリーを復活させたいと思っています。次回のマンスリーはキャラメルピーナッツのお菓子を持参したいと思います。慣れたらチョコレートマーブルの焼きチーズケーキを目指したいです。

今年もがんばります。
よろしければ、是非ライブに遊びに来てくださいね。

① ヒナミケイスケで出演します
black box broadcast 6
studio museum笹塚店 Gスタジオ
http://www.studio-museum.com/sasazuka/index.html
4月18日(土)
18:00開場、18:30開始
お一人様1,000円
軽食/ドリンク付き、持ち込みも歓迎

② ok city okで出演します
live labo yoyogi
http://www.yoyogi-labo.com/
4月19日(日)
18:00頃

③ ヒナミケイスケで出演します&国語の先生を演じます
廃校フェス
http://haikoufes.sblo.jp/
5月6日(水・祝)
終日、ライブは夕方くらいだと思います

季節の変わり目は体調を崩しやすいのでお大事に。
それでは!

4.08.2009

春樹へのラブ

僕は彼女に言った。言ったと言うか伝えた。そう、「言う」と言うことはただ乱雑に言葉を宙にばらまくに等しく、僕が伝えたかった内容の重要性と相手と僕の間にある実にフクザツな今までの経緯をも鑑みると、どちらかと言うと「伝える」という表現の方が間違いない。ということで、私は彼女に言うことにした。あ。

「僕は十三年前に一度たまたまあのバーで帰り際のあなたとすれ違った僕の従兄弟からの又聞きですんごく何のヘンテツのない平凡なOLとすれ違ったぜ、と聞いてからずっとあなたが気になっていました。それからの日々は過酷なもので、僕の人生史上でもっとも苦しい時期と言っても過言ではありません。ちなみに僕はいま神保町の敢えて控えめの古本屋で勤めておりまして、それはそれはあなたのことを考えてる時は仕事に手がつかず悩んでいて、ピュアなことからイヤらしくてここでは言えないくらいアダルティな妄想まで頭を駆け巡るのです。嗚呼、この人はなんて罪な人なんだろう。嗚呼なんて僕は下らないやつなんだろう、バカバカバカ。そんな僕の前にあなたが突然現れるとは運命としか思えません。顔をどうやって分かったって?それは運命ですよ、それとも僕の少年時代に磨きあげた動物的なカンと言いますか。はい、どう?」

「あら奇遇だわ。あなたのことならなんでも分かるような気がするの。いつの間にか今後あたしたち付き合うことになってるみたいだこど、それはおいといて、断っておくけれどもあなたは私のことは何年かけても知り尽くすことは絶対ないし、あなたが私の過去についても一切探ってはいけない条件付きだし、どちらかといえば半永久的にビミョーな関係になるけどそれでもよければなんとなく付き合ってみますか?あぁ、良い忘れましたがあたしもあなたを心より愛してます。」

三頁分の会話を経て、二人は微妙なものの、結ばれることになった。と言う。