9.29.2012

軽い身体

ヒナミケイスケです。

重さの話です。

赤ちゃんというのは、そう軽いものじゃない。泣けばあやさなければいけないし、暴れれば大変だし、ケガさせてはいけない抱っこする側の神経も加わるとなおさら重く感じる。そういう意味で10キロのダンベルを持ち上げることと、10キロの赤ちゃんを抱っこすることを比べてもちょびっとわけが違うのだと思う。

何年前だったか、卒寿を迎えてから間もなく亡くなった祖父のことも思い出す。当時、病室に駆けつけていた私の父親が通夜でしてくれた話が記憶に残っている。お爺ちゃんの身体が小さく、とても軽く感じたと言う。

9.22.2012

再起動

西暦2325年、突然に人類は絶滅寸前の境地にたたされていた。僅かの生存者は、東洋にプカプカ浮かぶ日本というコメツブのような島国の片隅にある、石川県というこれまたヘンピな区域にある1000人の街だけだった。運命はその石川県民に人間の未来を託したのだった。

もっとも日本という国家はもうないので、県と呼ぶのもナンセンスだった。いうなら時代を西暦で表現する必要もなかったが、そう考えはじめると実にキリがない。政治をはじめ、経済、文化、宗教、科学あらゆる文明のなにもかもが跡形残さずリセットされてしまったのだった。

数少ない人数で無法のまま生活するわけにもいかないので、石川県民はせめてリーダーを選ぼうと試みた。それもせっかくなので多数決で。

最初の立候補は元農家の秋山泰治。自分の指導で食べ物やあらゆる物質を公平に分け合う社会を約束した。

次は寺の住職の門田健人。自分の指導で身体の弱い者や老人も放置されず安心して暮らせる助け合いの社会をうったえた。

芸術家の高橋晴美は自由を重んじ、かつ万が一自分の指導が間違った方向に行きかけたときに民が自分を辞めさせることができると約束した。

独身の佐藤公康は、みんなが大事だと思うことに必ず耳を傾けるから、どうか誰か嫁になってくれと叫んだ。