11.08.2015

薄茶色の氷水

私の名前は沢木篤郎、67歳。日曜13:42、ドトールの喫煙席でアイスコーヒーを飲んでいた。外は本降り一歩前の雨。背広が少し濡れてしまった。妻は今日どこかに出かけている。家で手持ち無沙汰になるのもなんなのでここで時間を潰している。単行本も読み終わったし、アイスコーヒーも薄茶色の氷水に変わってしまった。ストローですすってみるが、やはり不味い。

今夜は大学時代の同窓会だ。10年毎の間隔で開催されている。20代や30代の頃の同窓会は、会うたびに大きく変わる仲間に会うのにワクワクしたものだし、私も近況報告するのが楽しみだった。さすがに定年退職以降となると話題が少なくなってきた。何人か死んでしまったし、田舎に身を潜めた者もいる。

こないだ来た島村の容姿には驚いた。パステルピンクのポロシャツに黄緑のズボンだった。立派な白髪のジジイなんだからもう少し似合う洋服はあるだろうと思ったが、何も言い出せなかった。そんなジジイ、最近は珍しくもなくなったからな。

二つ隣の席のジジイと似た感じだ…と思えば島村本人ではないか。話しかけてみるとする。

ではごきげんよう。