9.11.2016

歩くのは好きだけど

主人に付けられた名前は「ポチ」。名前は悪くないかもしれないが、愛情やこだわりに欠けるように感じる。まあレトリーバーの私を「ポチ」と名付ける主人のセンスはまず皆無だろう。

主人は最近家庭で除け者にされている。きっかけとなったのは背広から出てきた謎のレシートで、浮気の疑惑はなんとか解けたものの夫婦仲はその後ギクシャクしている。そういった雰囲気は当然子供にも伝わり、思春期の娘も母親と足並み揃えて主人と距離を置くようになってしまった。

そのしわ寄せが来るのは私で、主人の孤独な時間のオトモする役割となる。主人との散歩は頻度も長さも増し、どんどん私の立ち位置が「主人の理解者」として定着してきつつある。言葉一つ発していないのに誠に不本意だ。

挙げ句の果てわかってるのはお前だけだよ、とか、俺たち二人でどこかで暮らそうか、といった戯言に付き合うようになり、正直たまったものじゃない。私はなるべく主人と目を合わせず、ハァハァいいながら歩くことしかできない。