5.30.2017

神の子

僕の名前は中田潤吉、今年19歳になります。大学に通わせてもらってますが、家の手伝いが忙しいので授業以外では学生らしいことをあまりしていないのかも知れません。

私が子供のころから、両親は「三日月の光」という宗教の入信者でした。毎週の集会に参加したり、お布施を払ったり集めたり、ニュースレターの編集や印刷、休みの日は勧誘したり。年に何度か群馬で行われる大きな集会に遠征します。

僕自身、一応入信してるけど教えの内容について詳しくないです。信者はみんな感じがいい人で、子供の頃から可愛がってもらってます。安易な考えかも知れませんが、出来上がった人間がまともなら教えも悪くないんじゃないかなと思っています。

両親は僕にもっともっと積極的に勧誘するように言います。もとより友達が少ないので難題ですが、限られた学校にいる時間で友達を作ろうと努力しています。知り合いはすぐにできたけど、やはり宗教の話を持ち出すと自然と距離を置かれてしまうのが実情です。知り合ってから1ヶ月、半年、いろんなタイミングで試してみましたが結果は同じ。

このままだと一生友達や恋人ができないんじゃないかと不安な今日この頃です。

5.05.2017

前線離脱

長坂弘樹、39歳自営業。東京の飲食業の厳しさを痛感している今日この頃。

念願のカフェをはじめて一年足らずで店じまいすることになった。23区内とはいっても住宅地のどまんなかだった。振り返れば、店を建てればお客が気づき足を運んでくれるだろうという見通しが甘かった。結局一般人が個人営業の暖簾をはじめてくぐることにはハードルがとても高い。口コミ、ウェブ、チラシといったきっかけづくりも重要で、カフェ環境やメニューの良し悪しはその後の再来店を促す役割。もちろんどちらも怠ってはいけない。

閉店後の支払いや現状復帰の工事も一段落し、長坂は当面食いつなぐため友人頼みでウェブデザインやチラシの仕事を紹介してもらっている。凝り性のため、これはこれで自分に合った仕事だと考えてる。年齢的にまったく新しいことに取り組む意欲もなければ、もう失敗は許されないのだ。

実績が少しできたら自分から営業をかけてみることも考えており、カフェなど地場の自営業のニーズに応えるビジネスを目論んでいる。