11.12.2017

持つべきもの

高橋空雅(くうが)34歳会社員と、デーブ・ロックウェル28歳英語教師。二人はインターネットで出会い、東京郊外の一部屋でルームメイトになった。

高橋は企業に勤めながらヒップホップドリームを果敢に追い続けている。一方のロックウェルは憧れの日本のアニメ文化(主に少女漫画)を身近に感じるために日本に来た。生い立ちも目指すものも全く異なるが、思いのほか仲良く暮らしているらしい。二人とも性格は温厚、協調的で常識人。お金や家事の役割分担もきちんとしており、生活上の行き違いがあっても話し合って解決するようにしている。二人とも空気を読む能力が高く、お互いの聖域に干渉しないようにしている。色んな意味で時代が可能にしたコラボレーションである。

アメリカ中部出身のロックウェルはヒップホップに関して明るくないし、高橋も漫画やアニメに興味がない。そのため、高橋のヒップホップも、ロックウェルのアニメの解釈もそれぞれ独創的。高橋にとってのロックウェル、ロックウェルにとっての高橋は、それぞれ愛する文化に近そうで遠い「おしい」立ち位置にあるのだった。