2.25.2017

冬の終わり

米粒ほどのあられが突然降り出した。金曜日の零時前、新宿西口広場は華金帰りのラッシュで賑わっていた。「雪だ」「かわいい」「電車大丈夫かな」と、東京人らしいエトセトラな言葉が飛び舞う。

白い結晶がグレーのウールコートにひっかかり、すぐに溶けて生地に吸い込まれていく。春はもう近い。

小田急入り口で友人とわかれ、中野行きのバス乗り場に向かう。乗客は次々と席について思い思いにスマートフォンの世界に沈み込む。みわたすと天気予報を見る者、ポケモンゲーム、アニメ動画、解散して間もない飲み会仲間とのラインチャット。

運転手が悲鳴をあげるまで窓の外をみる者はいなかった。